08.05.23
雨が降り続く日々。だが、時にのぞく太陽はとても眩しく笑いかけてくれた。 そんな中、生徒が頻繁に利用するこの通路は、そんな事とは無縁の空間と化していた・・・ 怒声ともとれるような声が響くこの空間の中心にいるのは、あの二人だ。 「いい加減にしてよ!」 「それはこっちのセリフよ!」 学園の中心となりつつある二つのホスト部の二人の部長が、生徒達の野次馬集団が出来るほど もめにもめているのである。 一体何があったのか・・・ そのためには、時間を少し戻してみる必要がある・・・・・・ 【空色ピアノ短編 ホスト部解散危機!?部長の大喧嘩】 事の発端は、三十分前の事。 部活の前に、両ホスト部の部長である美保子と春琉は生徒会室にいた。 生徒会役員である女生徒に、今度行われるスポーツ大会でのホスト部特別バトル、 なるイベントを行いたいとの申し出があった事からであった・・・ 「いかがでしょうか? スポーツ大会は毎年、今一盛り上がりに欠けるとの意見が出ます。 今回の大会は、大いに盛り上げ、記憶に残したいと考えているのです」 「なるほどねー。生徒会さんもいろいろ大変ですねぇ」 「呑気な事言ってる場合じゃないっつーの。 どうでもいいけど、私はいいですよ。いい宣伝にもなるし、一石二鳥かな!」 「ほ、本当ですか!?」 生徒会の女生徒は満面の笑みで美保子の手を取って喜ぶ。 だが、春琉の表情は曇っていた。 「ねぇ、春琉。そっちも・・・」 「私は、嫌だ」 「は?」 「えと、神坂、さん?」 困惑する、美保子と生徒会。 「ちょ、何言ってるのよ。断る理由があった?」 「ディアが参加するなら、そうすればいいよ。だけど、私は嫌なの。今回は一生徒として出ます。 以上! 神坂春琉、帰りまーす!」 「ちょっと!春琉!!」 「あ、あの!小咲さーん! あ、あのぉぉぉ!!」 さっさと生徒会室から出て行ってしまう春琉を追い、美保子はダッシュ。 唖然とする生徒会の生徒を残し、二人は嵐の如く去っていったのであった・・・・・・ 「ちょっと待ちなさいって!春琉!」 「なぁに?美保子」 春琉の腕を掴み、美保子は息を切らせながら話を続けた。 「・・・どういうつもりなの?逃げるの?」 「そんなつもりはないけど・・・けど、私は今回はホスト部としては出ないの。もう決めたの」 そんなそっけない態度の春琉に、美保子がついに怒りをあらわにし始めた。 「なによ、意気地なし」 「なっ!い、意気地なしなんかじゃないもん!」 「それ以外に今のアンタを表す言葉が見つからないわよ!」 「な、なんですってぇぇ!?」 言い争いを始める二人の元に、ホスト部のメンツがそろいつつあった。 最初に訪れたのは、春琉率いるケアクローバーのメンバー、秋斗だった。 「・・・春琉だ」 「うそ!どこだよあっきー!」 「あそこで、なんか美保子と喋ってる、けど」 「なーんか、様子がおかしくねぇ?」 真悟と秋斗が声をかけようとしたのだが、それは次の瞬間、ためらわれた。 「何度でも言ってやるわよ!意気地なし!弱虫!度胸なし!」 「ちょ、そこまで言う!?意味わかんないよ美保子っ!!」 「解ってくれなくて結構!こっちだって弱虫の考えなんて理解したくもないもん!」 「もう一度弱虫、なんて言ったら本気で怒るわよ、わからずや」 「だから、何度でも、言うわよ! 弱虫!!」 「もうっ!いい加減にしてよ!」 「それはこっちのセリフよ!」 「な、なああっきー・・・そろそろ止めた方が、よくねぇ?」 「面倒だが、そうした方があとで煩いのを免れる」 「それもそうだな」 「のわっ!こ、光っ!」 そろそろ止めようとした秋斗と真悟の元に現れたのは、美保子率いるディアの光。 真悟が驚いて秋斗にしがみつき、そんな姿をため息をつきながら光は聞いた。 「たまたま通りがかったらこれだ。何があったんだ?」 「よくわかんねーけど、さっさと退散したほうがいいってのはよくわかるぜ」 「同感」 「あぁ。そろそろ手が出そうだ」 「えぇ!?」 光の落ち着き払ったセリフに、真悟と秋斗が同時に振り返る。 「覚悟しなさいぃぃ!!」 「そっちこそぉぉ!!」 「うーわ!やべぇ! ちょ、ストップストップ!」 「春琉!やめろって!」 「止めないでよ秋斗!真悟ぉぉ!」 「お前も何やってんだよ」 「ひっこんでて光っ!」 「ひとまず退散」 「だな!」 「あぁ」 「はーなーしーてー!!」 「やーめーてぇー!!」 ずるずると、引きずられるようにして退散する美保子と光、そして春琉と秋斗、真悟。 最後まで言い合いを続けていた自分達の部長を見つめ、三人の男たちは深いため息をついたのだった・・・・・・ 「意味わかんないよ、もう!!!」 部活に集まりつつあるメンバーは、ただ美保子の荒れように戸惑っていた。 そんな中、事情は知らないものの、普段あんなに仲の良い春琉との喧嘩をしている場面を目撃した光は ため息をついて美保子を見つめていた。 「・・・荒れてますね、美保子先輩」 「今は近寄らない・話しかけないに限るぞ」 「ですね」 「それにしても、あの二人が喧嘩なんて珍しいよなー。すげー仲良いのにさ」 「それを見習って少しは人と接するときに注意を払ってほしいものですね」 「どーゆー意味だ!?」 「そーゆー意味ですよ」 「んだとぉ!?」 「ちょ、健吾先輩まで不機嫌になっちゃってどうするんですか!」 「まったく・・・」 これ以上部の雰囲気を悪くしたくないと、光が立ちあがった瞬間だった。 「うるさい!!今日の部活は休みにするから出て行ってよ!!」 「え・・・美保子?」 普段はこんなに怒る事のない美保子に、今度は光も戸惑う。 美保子はメンバーを押し出すようにして、ドアへと追いやった。 「はやく!!」 「・・・わかりました。 んじゃ、お先に」 「俺らも行くぞ、皐月、光」 「え?あ、はい・・・お疲れ様です、美保子先輩」 「・・・あとで、連絡くれ」 静まり返った室内で、美保子はただただ頭を抱えていた。 「なんなのよ・・・わけ、わかんない・・・っ」 いつでも笑っていた春琉の、あの心境を掴めない。 何を考えているのか、わからない。 静かにそっと、美保子は涙を流していた・・・・・・ 一方、ケアクローバーの部室では・・・ 「はぁぁぁぁぁ!?スポーツ大会での勝負を断ったぁぁぁぁ!?」 真悟の絶叫が響き渡っていた。 「うん」 「なんでまた?珍しいじゃないか、君が敵前逃亡なんて」 「・・・ちょっと事情があるんです!もうかまわないでよっ」 「春琉・・・」 顔を見合わせる、秋斗・エリル、そして真悟。 彼らも美保子同様、春琉が何を考えているのかわからないのだ。 そんなとき。 部室の扉がノックされ、エリルが何事かとドアを開ける。 そこには、思いもよらぬ人物が立っていたのだった。 「悪い。春琉、いるか?」 「こ、光!」 「なんだなんだ?様子見チェックか?」 光に噛み付く真悟だったが、光は冷静に頭を下げた。 「話がある。春琉に、です。 すみませんが、少し時間を」 美保子とのいさかいを、どうにかしたいと思ってるらしい。 彼女を一番に想う光だからこそ、たった一人でここまできたのだ。 それを理解した真悟は、ため息交じりで頭をガリガリとかいた。 「・・・ち!健吾もこうなってほしいもんだぜ!」 「まぁまぁ」 「奥の部屋、いけよ。 春琉、こっちはこっちで何とかするから」 秋斗に指をさされ、光は頷く。 「・・・うん、わかった」 「悪いな」 「いや」 光と春琉が奥の部屋へと消えた後、エリルがふと思いついたように言いだした。 「そういえば、うちの狂犬がまだ来ていないねぇ」 「狂犬って・・・まぁ間違っちゃいないか」 真悟の苦笑に反応するように、離れたとある廊下で、大きなくしゃみが響き渡った・・・ 「へーーーーっくし!!!」 「ぐあっ!」 「・・・あ、ヤベ。くしゃみの勢いでのしちまったよ」 「ち、くしょ・・・!」 鼻をすすりながら、佳乃は掴んでいた男子生徒の襟を離す。 ぐったりと倒れる生徒の周りには、他にも三つほど同じような格好の影が見えた。 「わかったか?弱いものいじめってのはテメーの弱さを他人の弱さで 誤魔化してるってことなんだよ!」 「ひっ!すす、すみませんでしたぁっ!」 佳乃の剣幕に、男子生徒は体を震わせながら逃げようとする。 だが、伸びている仲間をどうする事も出来ない。 仕方なく、佳乃の方から移動を始めた。 「・・・大丈夫かよ」 隣を歩く、自分よりも小さな生徒に声をかける。 彼はにっこりと安心したような笑顔で大きく頷いた。 「は、はい・・・ありがとうございます、佳乃さんっ!」 「・・・あのな、あんたのほうが先輩だろーが」 苦笑する佳乃に再度礼を言って、男子生徒は走り去る。 そんな姿を観察していたらしい女生徒が、拍手をしながら現れた。 「さっすが佳乃!ケアクローバーの番犬」 「美保子・・・馬鹿にしてんのか?」 「とんでもない! ちょっと・・・話、したくて」 いつもの美保子にはありえない態度に、佳乃は眉間にしわを寄せて首をかしげた。 「あ?元気ねーな。いつもはうるせーぐらいだってのによ」 「ちょっ、それどういう意味!?」 「そのままの意味だ。 どうでもいいが、どうした?俺でよけりゃ、話聞くぞ」 壁に寄りかかりながら、佳乃はできるだけ優しく笑って尋ねた。 らしくないと自分では思いつつも、そうした方がいいのだろうと、判断したのだ。 美保子は呟くように言った。 「・・・春琉と、ケンカ、した」 「はぁ!?なんでまた」 「知らないっ!春琉が、わかんない・・・私、どうしたらいいんだろ・・・」 「ちょ・・・泣くなよ?俺が泣かしたみてーになんだろ!?」 「うわぁぁーんっ!!春琉と喧嘩なんかしたくないぃぃー!!」 「ちょ、泣くなっての!おい!!」 「うわぁぁぁぁぁん・・・」 「誰か、助けてくれ・・・」 佳乃は自分が泣きたいくらいに困り果てる。 彼氏のいる美保子相手にどうやって慰めたらいいものかと、佳乃は懸命に頭をフル回転させる。 だが、納得できるいい考えが浮かばず、やっぱり泣きそうになる佳乃だった・・・・・・ 「美保子と、何を話したんだ?」 佳乃が泣きそうになる少し前。 光は紅茶をすすりながら春琉に尋ねた。 春琉はやっぱり、という表情を浮かべて苦笑しながら説明を始めた。 「・・・生徒会の人がね、今度のスポーツ大会、ホスト部で盛り上げてほしいって言って来たの。 毎年いまいち盛り上がんないから、ホスト部に協力してほしいって」 「・・・それを、受けなかったのか」 「さすが光だね。話が早いよ」 「なるほどな・・・それで美保子が怒ったってわけか。 けど、春琉だって何か考えがあったんだろ?それを美保子に伝えれば」 「察しがいいね、光は。もちろん、私だって受けたかったよ。でもね、それ以上に、私には やりたい事、願いがあったの。 私の大切な・・・美保子の為」 「春琉・・・」 春琉が必死に涙を堪えているのを、光は気づかないふりをした。 そして、春琉は自分の中に溜め込んでいた想いを、光に打ち明けたのだった・・・ 「・・・春琉らしい」 「でも、もう私・・・」 「諦めんのか?」 「え?」 「俺の知ってる春琉は、どんな状況でもその場を楽しんでたぞ? 笑えよ、春琉。大丈夫だから」 「・・・うんっ!」 「そんじゃ、美保子を捜しに行くか」 「え!?」 光は戸惑う春琉にそう言い出す。 初めはためらっていた春琉だが、意を決し、光とともに部室を後にした。 学園一の不良と言われ、恐れられている男は一人の少女の涙に情けないほどうろたえていた。 どうしてよいのかわからずにおろおろしているのを堪えかねたようにため息をついて現れたのは、 中学生の割には大人びた少年だった・・・ 「はぁ・・・まったく、何大声で泣いてるんですか、美保子先輩」 「そそ、爽太!」 「こんにちは、佳乃先輩」 「なぁ、助けてくれよ、頼むからっ」 「そのつもりですよ、佳乃先輩」 爽太は無言で目を赤くした美保子に近づき、突然美保子の腕を掴んで立ちあがらせたのである。 これにはさすがに佳乃も驚き、爽太を止めようとした。 「お、おいそう・・・」 「な、なんなの?」 「あの人は、アンタと比べて立ち直りが早いなって話ですよ」 「え・・・?」 「さすがは学園一の能天気。 ま、おれが勝手に言ってるだけっすけど」 爽太が立ち止まり、美保子は前を見る。そこには、光と並んで春琉の姿があったのだ。 「は、春琉・・・」 「美保子」 「あ?なんだ、春琉に光じゃねーか」 「佳乃」 「おうっ」 佳乃の空気は場をいくらか和ませたが、二人の間には依然として溝があった。 お互い気まずくて話しだせない、といった状況だ。 それを理解したうえで、爽太は楽しそうにニヤリと笑って言い放った。 「じゃ、おれたちはもう行きますんで。あとはお二人でどーぞ」 「え!?行っちゃうの!?」 「・・・そうだな。じゃあな、春琉」 「えぇ!?」 「俺も行くぜ。息苦しくてたまんねーよ」 美保子は爽太の意図を理解して悔しそうに爽太の背中を睨みつけた。 それを知ってか知らずか、爽太は振り返らずにひらひらと手を振って見せた。 ・・・まぁ、簡単に言えばさっさと仲直りでも何でもしろ、という事だ。 「あいつぅぅ」 「あ、あのぉ、さ・・・」 「え?あ、ん?何!?」 たった数時間の事だというのに、美保子は久しぶりに春琉の声を聞いたかのような錯覚を感じた。 そのせいで返事がおかしくなってしまったが、同じく緊張しているらしい春琉は気に留めなかった。 「あの・・・光に言われて・・・全部話す事に、しました」 「・・・うん」 全部とは、スポーツ大会での勝負をさけた理由だろう、と美保子はわかった。 言い出しにくそうにしている春琉は、俯いたまま言い放った わ、私・・・他の生徒さんたちより美保子に楽しんでもらいたかったのっ!!」 「・・・は?」 「うぅ・・・」 全く予想していなかった春琉の言葉に、美保子は言葉を失った。 だが、春琉は、今度はまっすぐに美保子を見つめて言った。 「いつも他の人の、お客さんになるであろう生徒さんの事ばっかり考えてる美保子、私好きだよ。 だけど、たまには自分が楽しむだけに専念してもいいんじゃないかって思うの。 学園生活は、私達が提供しているんじゃないよ。まぁ少しはそうかもだけど、でもさ、これは この時間は、私達のモノだよ。美保子のモノ。だから私・・・美保子に一番楽しんで欲しかったの」 「は、春琉・・・っ!」 「ハッキリ言わなかった私がいけないんだ・・・ごめんなさいっ!」 「わ、私がいけないんだよ!春琉がそんなに私の事を考えていてくれてたなんて・・・っ」 「美保子・・・」 「春琉っ!」 ようやく仲直りをした二人がお互いを抱きしめ合う光景を見て、三人は深いため息をついた。 「・・・何ですか、あれ」 「なんか・・・どこぞのバカップルを見てるみてーだ」 「言えてますね」 「そーゆーことだったのかよ!」 「美しい友情じゃないか」 「二人とも・・・いつの間に」 「や。こんにちは」 「春琉が心配だって言うエリルに付き合ってやったんだよ! な、エリル!!」 「んー・・・」 「春琉が心配で接客できないって、真悟先輩がわめくからっすよ」 「ちょ、余計な事言うなあっきー!!」 「本当の事じゃないすか」 「でも、仲直り出来て良かったですよね!師匠っ!」 「だなっ!」 「アンタらまで来てたんですか・・・」 「げっ!健吾!!」 「ちゃーっす!チビ先輩!!相変わらずチビだねー!!」 「う、うるせぇ!!」 部長の事を心配して集まったにもかかわらず、いつものように喧嘩が始まる。 そのせいで、彼らはそれぞれに降りかかるであろう災難の接近に気づけずにいたのだった・・・ 「アンタ達ぃぃぃぃ」 「み、」 「美保子、せんぱい・・・」 「げ、元気になったみてーだな!」 「人がせっかくいい気分に浸ってたって言うのにっ!!」 「おお落ち着け春琉!!おれはお前が・・・」 「問答無用っ!!」 「アンタら全員覚悟しなさいよー!!」 「ぎゃああああ!!!」 こうして部長二人は無事に友情を修復し、さらに深め、一歩を踏み出したのであった。 いつもの笑顔が、いつものように輝いている。 今回一番苦労したであろう佳乃は、そんな春琉と美保子を見つめ、笑顔で言い放った。 「うっしゃぁぁぁ!スポーツ大会、気合い入れていくぜぇぇ!!」 「おぅっ!」 ・・・そして、スポーツ大会当日・・・ 「うぉぉりゃぁぁぁっ!!!」 「とりゃぁぁぁぁ!!」 「頑張ってくださいっ!美保子先輩!」 「・・・てゆーか、なんで中・高一斉にやるわけ・・・」 「親睦を深めようってやつだしな。 お、ドッジボール盛り上がってんな」 「ホスト部の部長同士の対決って事で、今日一番の盛り上がりですよ!」 「・・・おれ達が心配しなくても、ちゃんと楽しい事は楽しいと感じるもんなんだよな」 「そうみたいだな」 「やれーっ!春琉ー!!!」 「負けんな美保子ー!!」 「ピピーーーッッ!!! 試合終了!勝利チームは・・・」 美保子と春琉、どっちが勝ったかは、ご想像にお任せします。 スポーツ大会は無事に終わり、その後も二人は笑いあっている事が何より大切ですので・・・ 本編・終了 【おまけネタ】 ※これはシナリオ担当のサガラが勝手に妄想して書き上げたモノです。 撮影秘話、みたいな感じで、セリフのみですがお楽しみ頂ければ・・・・・・ 〈待合室にて〉 美保子:「えーっと、なになに・・・今回の話し、私と春琉が喧嘩するの?」 爽太 :「そーゆーのって後々嫌じゃないすか?」 美保子:「んー・・・ま、楽しそうだからいいけどねー」 皐月 :「爽太君、なんで後々嫌なの?」 爽太 :「いや、だってリアルに喧嘩しそうじゃない?」 皐月 :「あー・・・あの人たちならやりかねないね・・・」 〈本番いきまーす〉 美保子:「何度でも言ってやるわよ!この弱虫!いくじなし!」 春琉 :「ちょ、そこまで言わな」 美保子:「馬鹿!阿呆!!ドジ!!間抜け!!」 春琉 :「そんなのせりふにな・・・」 美保子:「春琉の馬鹿野郎!何とか言い返してみなさいよ!!」 春琉 :「美保子の腹黒女!!」 美保子:「な、なんですってぇぇぇ!?」 真悟 :「な、なぁ・・・本気で止めた方がよくねぇ?」 秋斗 :「おれにはそんな勇気ありませんよ」 爽太 :「・・・ね?こうなるからだよ」 皐月 :「な、なるほどです・・・」 美保子:「能天気女―!!」 春琉 :「無神経女ー!!」 〈なんやかんやで・・・〉 春琉 :「美保子っ!」 美保子:「春琉・・・っ!」 春琉 :「・・・美保子ちゃん、腰細いね」 美保子:「春琉こそ、意外と胸おっきいんだね・・・着やせするタイプ?」 春琉 :「えぇ!?そんな事無いよー!美保子ちゃんだっておっきいじゃん!」 美保子:「ちょっとだけ触ってみる?」 春琉 :「ほんと!?」 健吾 :「ちょちょ、ちょっとお二人さん!!」 エリル:「そ、そーゆーことは楽屋でお願いしたいな」 真悟 :「聞いてるこっちが恥ずかしい・・・」 秋斗 :「真悟先輩、顔真っ赤」 皐月 :「ホントです!」 爽太 :「かーわいー」 真悟 :「う、うるせー!!!」 〈本当は仲良しさんです〉 真悟 :「なぁ健吾ー。ここなんだけどさ」 健吾 :「あん? ・・・あぁ、ここは・・・」 皐月 :「みみ、見て!爽太君!本編ではありえない光景が今目の前に!!」 爽太 :「犬猿の仲であるはずの真悟先輩と健吾先輩が仲良く台本チェックですか!」 佳乃 :「それを言うなら爽太だってテンションたけーじゃんか」 爽太 :「え・・・」 皐月 :「確かに・・・」 〈お疲れ様でした!〉 エリル:「お疲れ様ー!」 真悟 :「ふぃー!今日も疲れたけど楽しかったなー!」 健吾 :「だなー! んじゃ、この後はみんなで打ち上げか!?」 春琉 :「あー!いいかも!!」 佳乃 :「健吾のオゴリだろ?」 健吾 :「え!?」 爽太 :「なら行きまーす!どこにします?」 皐月 :「師匠!僕、焼き肉が食べたいです!」 秋斗 :「賛成」 佳乃 :「皐月、もっと男らしく頼んだら連れて行ってくれるかもよ」 皐月 :「本当ですか!?」 健吾 :「いや、らしくもらしくないも関係ない・・・」 皐月 :「師匠!」 健吾 :「ぅぉっ!はい!!」 皐月 :「おれ、肉が食いたいっす!!!」 健吾 :「・・・っはい」 美保子:「やったー!!」 春琉 :「肉だにくー!!」 秋斗 :「こら春琉。女の子が肉にく言うんじゃありません」 光 :「おれカルビ」 皐月 :「僕、じゃないや、おれ、ハラミ!!」 佳乃 :「おー!いいな、ハラミ!じゃー、おれはミノ食いてーなぁ」 エリル:「・・・僕も出すよ、健吾」 真悟 :「俺もだ。安心しろよ」 健吾 :「はぁぁ・・・」 *完*